【精進料理を作ろう!】ほとけの精進料理レシピ 秋・もどき編

ここ数年、美容や健康に良いとされるヴィーガンやマクロビにもよく用いられる調理方法、『もどき』について、ほとけ便りらしく精進料理の観点から紐解き、作ってみようと思います。

もどき料理とは

皆さま、がんもどきはご存知ですよね?
もどきと名がつく通り、それに似せた料理を指しますが、この他にもアワビもどき、マグロもどき、うなぎの蒲焼きもどき・・・など様々な種類があります。そしてがん(雁)もどきは「飛竜頭」とも言われており、その名の通り鶏肉の代用品として作られたものです。

精進料理は中国から仏教が伝わった時に同じく広められ、日本においても奈良時代から僧侶たちは菜食を行っていました。そして平安時代には寺の食事を「精進料理」と呼ぶようになったそうです。そんな中、五葷や殺生の禁じられた僧侶へのご馳走としてできる範囲の中で考えられたのがこの「もどき料理」でした。

ほとけ便りツウ、もしくは精進料理に詳しい方はご存知かもしれませんが、「五葷(ごくん)」についておさらいです。殺生する食べ物以外に、刺激やにおいの強いもの(「にんにく」「ねぎ」「玉ねぎ」「にら」「らっきょう」)を指し、煩悩を刺激してしまうという理由で精進料理の中では禁じられている食材のことです。

世界の精進料理・もどき料理

世界的にも昔から、ヴィーガンのお店に行くと必ず見かけた豆腐テンペを使ったお肉もどきの料理がありました。また今年は、使いやすい大豆でできたそぼろ状の大豆ミートが流行りましたよね。
そして昨今欧米では環境問題とともに、ビーガニズムや菜食主義への関心が高まっているのも事実です。

昨年、小泉進次郎環境相が国会でヴィーガンレストランのお話をされたことはご存知でしたか?
「完璧にはできませんが、やはり持続可能な社会、脱炭素化を目指すにあたって、自分の身の回りを変えていく。」と言って、小泉環境相が訪れたという東京の自由が丘にある世界1位に輝いたビーガン・レストラン「菜道(さいどう)」で食べたもどき料理を絶賛していたそうです。

そんな中、ほとけ便りとしてはやはり宗教から見た精進料理を掘り下げてみようと思います。
世界の仏教の中にはそれぞれ異なった規律が存在し、驚きの結果になりました。

仏教徒は世界各地にいますが、その 9割以上はアジアに(特に東アジアと東南アジアに広く分布)いるといわれています。仏教徒が多い国は、中国、日本、 タイ、ベトナム、ミャンマー、スリランカ、カンボジア、韓国などが当てはまります。
小乗仏教は、タイ、ミャンマー、スリランカ、カンボジアなど、南アジアを中心に広まり、大乗仏教は、東アジア(中国、台湾、韓国、日本、ベトナムなど)、中央 アジア(チベット、モンゴルなど)などを中心に広まってきました。

なんと、小乗仏教では「三種の浄肉」に当たるものは口にすることが認められているそうです。

三種の浄肉・・・「見」、「聞」、「疑」が無い浄肉のこと。
「見」とは、自分に差し出されるために動物が殺されるところを見ていない肉。
「聞」とは、自分に差し出されるために動物が殺されたという話を聞かなかった肉。
「疑」とは、自分に差し出されるために動物が殺さたという疑いがない肉。

こうした歴史的な背景もあり、タイ、ミャンマー、カンボジア、ラオスなどの小乗仏教圏では、現在でも精進料理という概念は存在しても、この料理自体は発展してこなかったといわれています。

一方、中国、朝鮮、日本、ベトナムなどの大乗仏教圏の寺院の食事では、殺生をする食材を口にすることが禁止されているので、完全に菜食の食事となっています。
これにより大乗仏教圏で仏教の戒律に基づき誕生した精進料理は、時代と共に発展してきた長い歴史があったのです。

もどき料理を作ろう!

では早速、お豆腐を使ったもどき料理を作ってみましょう。今回は2種類選んでみました。

とっても美味しい手作りがんもどき

・絹ごし豆腐 1丁 ・片栗粉 大さじ1
・人参 1/3本  ・きくらげ (水で戻した状態で)30gくらい ・大葉 お好みで多めでも
・精進だし醤油 大さじ2  ・味醂 大さじ2 •砂糖 大さじ1

①豆腐は半日〜数時間しっかり水切りしておく。(大切です!)

②具材は細かめにカットして、にんじんをだし醤油と味醂と砂糖で煮て、最後にきくらげも入れてさましておく。

③豆腐をゴムベラなどでつぶす。

④つぶした豆腐に煮汁をよくきった具材と細かめにカットした大葉と、つなぎに片栗粉をよく混ぜて小さめに丸める。

⑤フライパンに油を半分浸かるくらいに入れ、180度くらいで揚げ焼きにする。

⑤両面いい色になったら、油切りをして盛り付け。

出汁醤油をかけたり、あんかけにして食べる。

騙されてもいい!鮑もどき

・椎茸 4個  ・木綿豆腐 1/2丁
・白味噌 大さじ1  ・味醂  大さじ1
・醤油  大さじ1  ・片栗粉 少々  ・ごま油 少々

②白味噌をすり鉢ですり、(30分から1時間)水切りした豆腐を入れて混ぜ合わせる。

③軸をはずした椎茸のかさに片栗粉をまぶし、②をはりつけ、再度片栗粉をまぶす。

④熱したフライパンにごま油を入れ、衣を上にして中火で焼く。

⑤両面を焼いたら、みりん、醤油を加えて全体に絡める。

ご飯に合うおかずが出来上がりました!

まとめ

精進料理は、胃に負担をかけずに身体を健康にする利点の他に、精神がくっきりクリアになる作用があるそうです。ですので、人間本来が持っている「気」を損なうとされる「五葷」という概念も存在するのでしょう。厳しい修行はできませんが、たまには食事から感性を磨いて、人生を豊かに味わえる良い気を養いたいものです。

過去にも精進料理レシピをご紹介しています。季節ごとに少しずつ生活に取り入れていくのもいいですよね♪
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ほと子’s choice

今回使った美味しい調味料などをご紹介します。
精進料理はシンプルな味付けなので、素材の味を大切にする調味料がおすすめですよ。

 

味の一 味の母(みりん) 720ml
¥753

 

 

鎌田醤油 精進だし醤油 3本入り
¥1,230

 

 

 

国産きくらげ50g 乾燥 無農薬
¥777

 

 

 

アーネスト 【日本製】 天ぷら鍋 3点セット 燕三条製
¥3,553