「うろうろ」〜何気なく使っている言葉は、仏教用語だった!?

知らずしらず、あなたも日常で仏教用語を使っている……!

こんにちは、ほと子です。
今回はほと子の仏教用語トリビアと題して、仏教用語と知らずに日常生活で使っている言葉にスポットを当てたいと思います。仏教用語と言っても特に難しい言葉ではなく、何気なく頻繁に使っている言葉なので、びっくりする方もいるかもしれません。

なかには、仏教においての本来の意味とは違う意味合いで使われるようになった言葉もあります。つい誰かに教えたくなるトリビア。ここでは厳選して3つの言葉を取り上げます。知識欲をくすぐられた方は、ぜひ読んでみてください。

うろうろ

まず取り上げるのは、「うろうろ」という言葉。
言わずもがな、あちこちをあてもなく動き回る様子を表す言葉です。現代では、「道に迷ってうろうろする」「予定時刻より早く到着したので辺りをうろうろする」などという使い方をします。

「うろうろ」は、もともと漢字で「有漏有漏」と書くそうです。仏教で、「漏」とは心の汚れを表す言葉。「漏」は、私たちが世界と接する「六根」から漏れ出るものだと考えられています。ちなみに、「六根」とは眼(視覚)・耳(聴覚)・鼻(嗅覚)・舌(味覚)・身(触覚)の五感と意(意識)の六つを指します。

「六根」により迷いが生み出されるということで、「漏」は広い意味での「煩悩」という意味を含んでいます。つまり「有漏(うろ)」は煩悩がある状態、「無漏(むろ)」は煩悩に惑わされない状態です。

方向性が定まらずにあちこち動き回っている姿が、煩悩に翻弄される様子と重なり、煩悩を象徴するような行為ということで「うろうろ」と表現されるようになったのでしょう。

我慢

次に、「我慢」です。「我慢」は辛いことを耐え忍ぶことを表す言葉。「ダイエットのためにスイーツを我慢する」「眠気を我慢して講義を聞く」のように使いますよね。

仏教用語の「我慢」は煩悩のひとつに数えられており、強い「我(自我意識)」から生まれる「慢心」のことを指します。
自分に執着するあまり、自分の実力や存在にうぬぼれて、ほかの人を軽んじる思い上がりの心が「慢」。「慢」は比べる事柄によって数種類に分けられ、「慢」の数によって「七慢(しちまん)」「八慢」「九慢(くまん)」のように分類されることもあります。「我慢」は「七慢」のなかのひとつで、自負心が強く自分本位なこと、天狗になることです。

「我慢」が今のようなよい意味あいで使われ始めたのは、近世後期からのこと。我が強い→負けん気が強い→がんばる→耐え忍ぶというように変化していったと思われます。もともとよくない意味であった言葉が、時代が変わるにつれてよい意味で使われるようになったという珍しい例です。

「超」はとても、すごく、最高にというような最上級を表す言葉です。「超おいしい」「超おもしろい」のように形容詞に付けて使ったり、「超うける」「超むかつく」のように動詞に付けて使ったりします。さらに、「超高層ビル」「超満員」のように名詞に付けて使われることもありますよね。

世代によっては使う頻度に偏りがあったり、以前に比べて使うことが少なくなる傾向があるかもしれませんが、まだ「死語」という領域ではないような気がします。少なくとも名詞に付ける使い方は、俗語的な使い方ではなく正しい使い方と言えますよね。

さて、仏教用語としての「超」は、限界を超えた無限の世界を会得すること。つまり「完全な悟り」を意味します。仏教では迷いの世界で生きる者のことを「衆生(しゅじょう)」と言いますが、衆生の世界は、ほかの人や事柄と比較して苦しむ相対有限の世界です。そういったものを超越して真理にたどり着けるのが、絶対無限の「悟り」の世界。というわけで、「超」は比較を超える並外れたものや、桁外れな事柄に対して使われるようになりました。また、絶対無限の世界と言っても独りよがりの世界ではなく、誰にでも通じているということから、仏教においての「超」は、「すべての人間に通じる」という意味もあるそうです。

身近な仏教用語は、人に教えたくなるトリビア!

えっ、これも仏教用語なの!?と驚いた言葉もあったのではないですか?

仏教界にも人に教えたくなるトリビアがたくさんありますよ。
一見、意味があるのかな?と思える豆知識も、会話の引き出しを増やしたり、人としての教養の幅を広げたりするのに役立ちます。友人や目上の方との会話をはじめ、ビジネスシーンなど、思わぬところで役立つことがあるかもしれませんね。

ここで紹介した言葉はほんの一部にすぎません。このほかにもたくさん、日常会話で使われている仏教用語があります。興味がある方は、この機会にぜひ調べてみてくださいね。

過去記事「なんぞや?般若心経の「空」」では、仏教のことばといえば皆さんご存知の「般若心経(はんにゃしんぎょう)」について書いてありますので、こちらも併せて読んでみてください。

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というわけで、今回のほと子’s choice は日々のことばを大切にするヒントになるカレンダーや辞典をご紹介いたします!

 

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