【精進料理を作ろう!】ほとけの精進料理レシピ 冬・けんちん汁と建長汁

神奈川県の郷土料理でもあるけんちん汁は、実はお寺発祥のお料理だったってご存知ですか?

こんにちは、ほと子です。
寒くなってくると、温かい汁物が恋しくなりますよね。クリームシチューにコーンスープ、豚汁・・・
ほとけ便りとしては、精進料理的汁ものの代表「けんちん汁」一択です!
今回は、由緒正しいけんちん汁の作り方とお寺の関係について皆さまにお伝えしようと思います。

 

けんちん汁と建長寺の汁

昔から家庭料理のひとつである「けんちん汁」というのは、鎌倉にある建長寺が発祥の地だったってこと、ご存知でしたか?
最近TVでも特集されているのをみて、同じことに興味を持っている人がいることに嬉しくなりました。
その名前の由来は、開山・蘭渓道隆が野菜の皮やヘタを無駄にしないようにと発案した「建長寺の汁」が訛って、けんちょう汁・・・けんちん汁と呼ばれるようになったのだといわれています。

そして野菜は植物ですが、『他の者の命をいただく』という気持ちから、皮も捨てずに使うのが建長寺スタイル。そして、食材はなるべく薄く細かく切るそうです。これは、多くの修行僧たちに「普(あまね)く公平に」行き渡るよう、という仏教の「食平等(じきびょうどう)」の教えからきたものです。

その他の特徴はというと、
・残り物の根菜、季節の野菜など、ありあわせのものを使う。
・鰹節や煮干しのダシは使わない、昆布・シイタケのみを使う。
・ごま油で炒める。
豆腐はもみつぶす
・炒めながら醤油で下味をつけ、水を入れて煮たあとに
仕上げの醤油で味付けをする。

とありました。
精進料理ですから、出汁に気をつけるのはもう皆さまご存知ですよね。また、なぜ豆腐を潰して入れるのかというと、昔修行僧が誤って落としてしまった豆腐を蘭渓が洗って汁に入れたのがきっかけだったと言われています。

建長汁に入れるダイコンやニンジンなどの土を深く念入りに耕さなければならない野菜は、建長寺の畑が粘土質のため、育てるには不向きで僧侶たちを悩ませたそうです。

建長寺

ではその建長寺について触れていきます。
建長寺の歴史は古く、建長7年(1255)2月に造られた梵鐘(国宝)に「建長禅寺」とあるように、建長寺は日本で最初に”禅寺”と称した中国宋朝風の臨済禅だけを修行する専門道場であったそうです。およそ、中世を通じての寺院は、1つの寺で天台宗と真言宗・浄土宗などを兼ねている例が多かったことから、建長寺のような1寺1宗という浄刹はたいへん珍しかったといえます。

建長寺のホームページから、とても素敵なメッセージを見つけたので抜粋させて頂きます。

〜鎌倉にある建長寺を開山された大覚禅師が好んだ言葉〜

「福山は揮(すべ)て松関を掩(と)じず 無限の清風来たりて未だ已(や)まず」

一切の制「限」を「無」くし
ただ「清」らかな「風」のみを感じれば心は開放される
修行者にも一般の人にも 老若男女 あらゆる人に対して
福山はいつでも門戸を開いている

という意味です

来るものは拒まず 去るものは追わず
たとえ「自分には合わない」と去る者がいても引き留めることはしません

私たちの周りにも この「無限の清風」が吹いています
それは偶然の出会いや出来事となって現れます
でも 心の窓を閉じると入って来ません
大切なご縁も気づかずに通り過ぎてしまいます

幸せは開かれた心にのみ舞い降ります 今の世の中
メール SNS 携帯電話 コンピューター ヘッドフォン
など 心は常に何かに集中しています

時には必要かもしれませんが
「集中」が「囚われ」や「依存」に陥りやすくなります

閉ざされた心に無限の清風は入れません

現代では意識して依存から離れ
囚われた心を解き放つ時間が必要です
自分の心を開放し 多くを受け止められる人になりたい
心の窓を開いて「無限の清風」を感じてみては如何でしょうか

毎年、11月に建長祭りというものがあり(昨年と今年は中止)、写経の他にけんちん汁講座があって食べることもできるそうです。来年はぜひ訪れてみたいと思います。

いや、待てない!この冬に食べてみたい!と思った方。なんと、建長寺から公認のけんちん汁がいただけるカフェが建長寺の近くにあるそうですよ。

「点心庵」
鎌倉市山ノ内7(建長寺門前)
11:00~16:00  火曜日定休

けんちん汁(建長汁)の作り方

材料

お豆腐 1/2
里芋  2〜3個
ごぼう 15センチ
人参  1/2本
大根  5センチ
椎茸  2枚
長ネギ 10センチ
ごま油 大1/2
だし汁 800cc (今回は昆布で出汁を取りました)
醤油 大1  塩、砂糖 少々

作り方

①里芋は塩を振ってもみ、洗ってぬめりを取ってから3.4mmに切る。
ごぼうは周りをこそげた後に、ささがきにして酢水につける。
人参は薄い銀杏切り、椎茸は薄切りに切っておく。

②ボウルに昆布と水900ccを入れて出汁を取っておく。
③鍋にごま油を入れて火にかけ、里芋、ごぼう、大根、人参、椎茸の順に入れて軽く炒め、
下味に醤油を大1/2入れる。

④鍋にだし汁を入れ、強火で煮る。
沸騰したら残りの醤油を入れて、そのまま野菜が柔らかくなるまで煮る。
⑤長ネギを小口切り、豆腐は手で崩して加える。

⑥塩と砂糖で味を整えて、出来上がり

まとめ

優しい味付けのけんちん汁は、寒く冷えた僧侶の身体を芯から温めたものに違いありません。
じんわりと温まりながら、そんなことを思い耽りました。
緊急事態宣言も明け外食ができるようになりましたが、冬の野菜をたくさん使ったけんちん汁を食べて、胃腸を整える日を作るって寒い冬を乗り切りましょう!

その他の精進料理レシピはこちらからもご覧ください。
【精進料理を作ろう!】春野菜を使った簡単♪精進料理レシピ

ほと子’choice

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